矢座のおはなし

巡礼の旅の途中、狩人が訪ねたとある神殿にはいたずらな精霊が棲んでいました。
精霊は「あの一等星を撃ち落とせば、願いを叶えてあげよう」と告げます。

狩人は神殿を出て自慢の弓を引き絞り、矢を放ちました。
狙いあやまたず、星へと向かって矢は空へと消えていきます。
でももちろん、星は落ちてきたりしませんでした。
失敗してしまったと、肩を落として狩人はそのまま去っていきました。

でも、精霊は知っています。
矢は空を突き抜け、今も星に向かって飛んでいるのです。
ただ、人の速度では星に届くまでとても長い時間がかかるというだけのこと。
精霊は、褒美として狩人の願いを少しだけ叶えてあげました。

夜空を見上げれば、今でも飛び続ける矢の軌跡が夜空を渡っているのが見えます。
いつの日か、星は砕け散り、地上に降り注ぐことでしょう。